著作紹介〜『発達障害当事者研究』〜

発達障害と聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?世間でよく聞くのは「コミュニケーション障害」という言葉だと思います。
でも「コミュニケーション障害」はなぜ起きるのか、そもそも「コミュニケーション障害」って何なのか分からなくないですか?
この本は発達障害を持っている綾屋紗月さんが当事者研究という手法を用いて熊谷晋一郎氏と共に自分自身について研究をした本です。
発達障害は障害がなかなか外に見えず、その人の内側で何が起きているのか分からないと思います。
障害を持たない健常者が多数派を占める社会では障害をもつ当事者が自身を語れるような言葉をほとんど持ち合わせていませんでした。
この本は綾屋さんの内側で起きていることに丁寧に丁寧に言葉をあてはめています。
綾屋さんの体験がユーモラスに語られているので、読みやすいです。
そして<したい性>や<せねば性>、<します性>など決して堅苦しくなく面白いフレーズがこの本には溢れています。
私は初めてこの本を読んだ時は「未知との遭遇」をしたような衝撃がありました。しかし自分の感覚を見つめ直すと、確かに自分とは違うけれど「質的」な違いではなく、「量的」な違いであるという風に感じ方が変わりました。(「質的」「量的」というのは本書に使われている言葉)
この本を通して自分がどのように行動や意味をまとめあげているのかについて改めて考えることができました。
綾屋さんという他者に出会い、それを通して自分に出会う。そんな、感覚に陥りました。
あくまで綾屋さんの当事者研究なのでこれを読めば発達障害全てが分かるわけではないですが、読んだ後はきっと新たな発見があると思います。

コメントを残す